「照」
「…はい」
「ありがとう」
「え…?」
「おかげでふっきれた。僕もちゃんと言う。僕は照が好きだ」
「神…」
「神としてじゃなく夜.神月として、僕は照が好きだ」
「…」
「たとえ照が僕を神としか見ることが出来なくても、僕は僕として照が好きだ。だから」
まっすぐに照の目を見る。
「僕は照に抱かれたい」

先刻ソファでそうしたように、照は両手を大きく広げ月に覆いかぶさった。
今まで堪えていた想いをすべて吐き出すように、
月に巻きつけた腕で、茶色の柔らかい髪が揺れる頭を押さえた掌で、
今や神ではなくいとしい人となった月を抱きしめる。

「…望んではいけない事だと思っていました…不相応な願いだと…神…」
「月って呼んでみて」
「月…さ…ん」
初めて名前で呼ばれ、月は幸せそうに目を細める。
「呼んで。何回でも呼んで」
「月さん… 月さん…月さん月さん 月さんー!
 好きです!ずっと抱きたかった!愛しています月さん!」

「月さ…あ、ああ、あ」
背中に回った腕に一層力が入った瞬間、照の下腹が接触していた月の太腿のあたりに
ビクビクと脈動を感じ、ほとんど同時に温かい液体がぷしゅっと吐きかけられた。
「あ。」
月の上で”やってしまった”という顔をして固まっている照をちらりと睨み上げる。
「…今日2回目?」
「す…すみません…」
「さすがに3回目は無理?」
「いえ…!が、がんばります!」
月はよし、と頷くと照の手を取って、
流れていく照の体液を堰き止めるように指を添えさせた。
「じゃ、これ使おう」

いわんとすることを理解したらしく、照は指先にそれを入念に絡めると
閉じた月の両脚の間にゆっくり割り込ませていく。

月は目を瞑って、後孔に触れるか触れないかのギリギリのところを
すっと逸れたり、会陰をそっと圧迫したり、
性器をやさしく包み込んだりする照の指の動きを追跡する。

全てあの時照が見ていたhowtoページの記述のままだ。

本来ならこうしたマニュアル一辺倒の愛撫に興ざめしてもいいのだろうが
照に限っていえば、それはただ月をできるかぎり喜ばせたいという
律儀さや一途さの発露である。
技巧やテクニックというものには程遠いけれども、
照の月への想いが十二分にそれを補っていた。
体全体がほんわりと心地よい熱に包まれ始める。

照の薄い唇が軽く月の上唇に宛がわれ、覗かせた舌が許可を求めるように
歯の表面を撫でていく。
迎え入れ、舌を吸う。もう一歩大胆になった照の唇が月の口を塞ぐ。
しっかりと唇をあわせ、舌を絡ませあう。
キスから生まれる熱と、下半身から生まれる熱とが
月の体で結び付けられ最初の昂りを生んだ。

体に蓄積されていく熱を少しずつ外に排出しようと月の呼吸は徐々に乱れ始める。

後孔に触れている照の指が中心近くで円を描く。
時折腰が持ち上がってしまう。下半身に血が集まっていくのがわかる。

月の腰に押し当てられている照の性器はまだやわらかく俯いている。
自分ばかり硬く張り詰めさせているのは恥ずかしく、口惜しい。
夢中で照の前を探り掌で上下に扱くと、照の舌の動きがとまった。
月を攻める指先、月に攻められる性器、互いに交わす口付け、
流石にそのすべてには集中できないのだろう。
はあっと震える吐息を漏らし、月のうなじに顔を寄せる。

月の手の動きに対抗するように照の指がじわりと体内に侵入した。
駆け上がる刺激に思わず全身をきゅっと収縮させた月に
照は指をそれ以上進めるのをやめ、心配そうに様子を伺っている。
「…痛かったり辛かったりしたらちゃんというから」
照は黙って頷き、返事の替わりに短いキスをして、侵入を再開した。

体の奥へと伸びる指先が内側を確かめるような動きに変わる。
じれったいほど少しずつ探られ、月は切なげに肢体をくねらせる。
照を攻める手から次第に力が抜け、我にかえってしっかりと握りなおして扱き、
そのうち握る以上のことが出来なくなり、やがて触れているだけになる。
乱れた呼吸に音が混ざり始めたかと思うと、すぐにはっきりした喘ぎ声にかわった。
「く…はあぁっ…んっ…うぁ…」

その間も照の指は月の中でねっとりと緩く蠢いている。
入り口で気遣うように襞を擦っていた次の指に力が込められる。
不規則な荒い呼吸で弛緩と緊張を繰り返す体から
力が抜ける瞬間をみはからって差し入れられた指に月は息を呑んで大きくのけぞった。

照はじっと動きを休めて月の体が2本目の指になれるのを待つ。
止めていた息を吐き出し、再び喘ぎ始めるのを確認してから、
揃えた指を腸壁に押し付けるようにしてさらに奥へと進めた。

もっとも弱い所を行き来され、とうとう月の手が芯を持ち始めた照の性器から離れる。
呼吸はますます荒くなり、声は高く細く尾を引き始める。
「あっ…ああっ…い…やあああ…」

敏感な場所への刺激から逃れ、余裕を取り戻した照のもう片方の手が月の胸へと這う。
軽く触れただけで待ちかねたように立ち上がった突起を
人差し指と中指ではさみ、親指の腹でさすると
月はほとんど悲鳴に近い喘ぎで応えた。

くちゅっと音を立てて指が引きぬかれ、
全身を激しく揺さぶる快感から解放され月は
はああっと長い息をひとつ吐き、ぐったりと力を抜いた。

先走りで光る月の性器に照の手が伸びる。
今触れられたらその瞬間にいってしまいそうな気がする。
月は夢うつつに嫌々をして見せ、
よろよろと頭をもたげると照の股間に倒れこむようにして顔をうずめる。
「月さん!」
おどろいて体を起こし、腰を引こうとする照に構わず、
月は緩く勃ちあがったそれを口に含んだ。

「月…さ…ん…」
久々に味わった強すぎる快感に痺れた頭と体とでは、
咥えて舌を添えるくらいしかできないが、照を甦らせるには十分だった。
完全に硬度を取り戻した照の性器の仕上がり具合を確かめ、
汗で額に張り付いた前髪をかきあげながら、月は自慢げにいたずらっぽく照を見上げる。

照は感動のあまり目を潤ませ、小さい子にするように月の両脇を支えて抱き上げ、
たった今まで自分の排泄器官を口にしていた月の唇に躊躇い無く吸い付いた。

抱き上げられた体勢のまま月が腰を浮かせる。
照は頷いて、月の体をさらに持ち上げゆっくりと照自身の上に下ろしていく。
唾液で湿った照の先端がぬるりと月の襞を押し広げ、挿入されていく。
月は照の肩に縋って、照自身が体内に埋め込まれていく速度を調節する。
内側のふっくらと腫れたそこを長いストロークで擦られ、
月は電気を浴びたように体を痙攣させ、途切れ途切れの悲鳴をあげた。

照の掌が頬に当てられる。照が何か言っている。
わからない。照の声を言葉として組み立てられない。
大丈夫、痛いんじゃないと伝えようとするがもう言葉はでてこなかった。
月は一層強く照にしがみつき、震えながら腰を上下に動かす。

照の下腹にこすりつけられる月自身への直接的刺激が加わり、
全身を貫くさらに強烈な快感につま先をぎゅっと曲げ、歯を食いしばった。

月が今望む事を読み取った照は、両手で月の双丘を支え動きを助ける。
はっ はっと規則正しく力強い照の呼吸音と、月の浅く短い引き攣った喘ぎの混ざる呼吸音と
粘膜同士が立てる水気を孕んだ艶かしい音が部屋を満たす。

照の体に力が入り、ぐっと腰が入る。月も力を振り絞って動きを早める。
「あ…っ!」
「月…さ…!」
わずかに月が早く達し、それを追う様にして照が月の中で達した。
照の首に巻きついていた腕から力が抜け、だらりと落ちる。
その指先に照が指を絡ませてくる。月はしっかりと握り返し押し倒すようにもたれかかる。

照は片手を月の背に添えて、そのまま後に倒れこんだ。

ゴッ
ベッドにぴったりと寄せておいてあったサイドテーブルの角に頭を打ちつけ
照は顔をしかめる。
「ごめんっ 大丈夫?」
「…大丈夫です…これで…おあいこですね」
「ソファでのこと?まだ気にしてたのか?」
月はそっと照の後頭部に手を伸ばす。ただぶつけただけでなんともないようだ。

「結局使わなかったな」
頭をぶつけた衝撃で倒れたボトルを立て直し、月は呟いた。
「ちゃんとローション用意しておきますので…」
月の脳裏にパソコンのモニターが浮かぶ。
大きな色付きのフォントが踊る、アダルトグッズの通販ページの文句を思い出した。
「そうだな、今なら新規会員登録者30パーセントオフ、だし」
何故…?と目を丸くする照に何も言われないうちに、月はあわてて唇で照の口を塞ぐ。

月はほんの少し瞳を翳らせ、おそるおそる照に問いかける。
「照にとって、僕はやっぱり神なのか?」
照はしばらく黙って考えていた。いい加減な事はいいたくないのだろう。
「神は神です。でも少しだけ変わりました。
  神のためなら今すぐ命を捨ててもいいと思ってきましたが、
  今は死ねない、月さんを守り通した事を見届けるまでは絶対に死ねないと思っています。
  這いずって、石にかじりついてでも命の限り最後の瞬間までお守りします」
「そうか…期待してる…」
滲んだ涙を見られたくなくて、月は額を照の胸板に擦り付ける。
照の力強い腕が月をぎゅっと抱きしめ、月も負けずに力いっぱい抱きつき返した。

月はふと目覚めた。真っ暗だ。夜中…?
そういえば今日は京都の照の部屋にいるんだった…
あのあとシャワーを浴びて、ベッドで2人で寝る事になったのだ。

すぐ顔の傍から一定のリズムの寝息が聞こえる。
体が動かない。どうやら照に両脚で挟み込まれた上に抱きしめられているらしい。
窮屈だなと顔をしかめながら、やっと暗闇に馴染んできた目を照に向けた。
熟睡している。その証拠に半眼だ。実に面白い顔で寝ている。

照自らの誓いを体現するかのようにしっかりと回された腕の重さが少し嬉しくて、
月が頬に口づけると、照は半眼のまましあわせそうに口元の筋肉を緩めた。

end





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