[ご注意]
一部、残酷・流血等グロテスクな表現を含みます。苦手な方は注意してください。
OKな方のみ下へスクロール。
捜査本部で日中流崎が見せていた険のある仕草に、月はずっとひっかかっていたが、
寝室のドアを閉めてすぐ、低い声で椅子に座るよう指示したその声色で
これは本格的に機嫌を損ねたな、と暗澹たる心持になった。
憮然とした顔で月の行動を待つ流崎に対し、つとめて冷静を装い
言われたとおり従順に椅子に座った。
腰を下ろした瞬間、月の顔がかすかに歪む。
昨晩、いや、明け方まで苛まれ続けた下半身が、わずかな動作にも悲鳴を上げる。
流崎は二人を繋ぐ手錠を外し、いつものように月に重い金属の首輪をつけた。
その首輪にロープを通し、椅子に固定する。同様に、両手首を肘掛、両足首を椅子の足に縛り付けた。
無言で手際よく拘束してゆく流崎を同じく黙って目で追いながら、月は困惑していた。
流崎の月への執着は凄まじい。
月の他の捜査メンバーへのちょっとした視線の走らせ方や
手渡しされる資料の受け取り方など、毎度些細な事にひどくこだわった。
しかも感情表現に慣れていない流崎は、不快さをその場その場で発散することができずに
不安のあまりそれを胸の奥に溜め込んでしまう。
決壊は、月への━主に性的な━虐待となって表面化する。
惨々月を泣かせ、啼かせたあと、流崎はボソボソと詫びた。
――私は 月くんの事になると 自分を制御できないのです
月くんに酷い事をしながらも こんなことをしては嫌われるだけだと
冷静に考える 私もいるのです
しかし 月くんをなじり、力尽くで言う事を聞かせようとする私と
どうしてもひとつにまとめる事ができません
私を どうか 私をこれ以上不安にさせないでください
流崎が落ち着いた後、何に対して腹を立て、悲しみ、あるいは嫉妬したのかを
聞きだせることもあったが、それはたいていは月が絶句するほど取るに足らない小さなきっかけから始まる、
驚くほど浅い思考のループと極度の思い込みが絡み合った、
すでに根拠のかけらもない理不尽なロジックに支配されたものであった。
流崎自身すらもてあましている、その内側にあるどす黒い闇を
無闇に刺激しないように生活する術は身につけているはずだ。
とりあえず、朝から捜査終了・解散までを頭で再生してみるが
やはり怒りを買うような事をした覚えは一切ない。
そう―― 昨日と違って。
昨日、統計データをまとめる新しいプログラムが捜査本部に導入された。
月は難なくそれをモノにしたが、午前中エラー音を始終響かせていた待つ田をみかねて、
ひととおりの操作方法を教えた。
1つの端末機を二人で覗き込み、説明を続けながらも月は気が気ではなかった。
背を向けていても、流崎の怒りが1秒ごとに増幅していく様が
手錠の鎖を通じてありありと感じ取られた。
もうこの辺で終わりにしなければと何度も切り上げようとしたが
待つ田の呑み込みの悪さと、月自身の生来の面倒見のよさとで、
ほとんど午後いっぱいつききりになってしまった。
模樹と待つ田が自室に引き上げ二人きりになると、流崎は引きずるように月を寝室へ連れ込み、
手錠をはずし首輪をつけ、ベッドに乱暴に張り倒した。
荒っぽく首輪を装着されたせいで咳き込んでいた月が流崎に視線をやると、
携帯を耳に当てている姿が目に入る。
「何してるっ」
――待つ田をここへ呼びます 待つ田の前で月くんと愛し合います
「馬鹿なことを言うなっ」
流崎ならやりかねない。月はその手から携帯をむしり取って通信を切った。
「本当にいいかげんにしてくれ! たのむから落ち着いてくれ!」
月は流崎の両手を掴んで自らの頬にあてた。
続けて震える掌をその上に重ね、なだめるようになでさする。
そうしているうちに、流崎が我を取り戻す事も少なからずあった。
眼を閉じて、祈るような気持ちで口付けを待つ。
ふいに抱きしめられるかもしれないと、重ねた掌を少し緩める。
いくら待っても、流崎は動かなかった。
眼を開けた月は理解した。今日の流崎は、冷静になる事などをこれっぽっちも望んではいない。
爬虫類のような冷たい眼で、微動だにしないまま、口だけがわずかに動いた。
――では私の気がおさまるような抱き方をします かまいませんね
「ああ わかった 好きにすればいい…」
流崎の自分本位のセックスに馴らされた月ではあったが、
さすがにこの日の仕打ちには耐え切れず、
幾度も失神し、うわ言のように許しを請い続けた。
激しく犯し、月の体内に精を流し込み、ありとあらゆる道具で責め立て、
悲鳴を上げて悶え苦しむ姿に欲情し、再び激しく犯す――
一晩中繰り返された拷問まがいの行為によって、月の体は外も中もひどく傷ついていた。
早朝呼び出されたワ夕リの手で応急手当てが施され、
ぐったりとベッドに突っ伏している月の首輪を流崎が掴んで引き上げ、無理矢理立たせる。
月はうめき声を上げてよろめいた。
――今日もしも待つ田の同情を引くような行動が見られた場合は… わかってますね
一睡もしないままシャワーを浴び着替えた後、首輪を外し手錠をつけ
つかれ切った体を引きずるようにして寝室を出、
流崎の怒りを買わないよう気を遣いながら1日すごしたつもりだった。
すでに月の体に施されている拘束に加え、胸から脇の下へロープを通し、
椅子の背にまわして括りつける。
「…なんのまねだ…流崎…」
緊張で硬直した喉を振り絞るようにしてやっと声を出した。
椅子の後ろ側から首を突き出した流崎が目の前で答える。
――まちがいやうっかりは だれにでもあります が それに気付かないのは悪い事です
「…全然わからないよ…僕が何をした?…」
視線を月に固定したまま、椅子の前に回りこむ。対峙するかたちにはなったが、
見下ろす流崎が主、見上げる月が従の立場である。
――しかも 昨日の今日じゃありませんか 私は月くんに舐められているとしか思えない
両手が月の体に伸ばされる。
身を固くする月の薄いデニムシャツの合わせ目に手がかけられ、
続いて流崎の手首の筋がぎゅっと浮かび上がり、音を立てていくつかの貝ボタンが飛んだ。
今日はアンダーシャツを着ていない。
月の白い素肌と、夜通し弄ばれ薄紅色に染まった2つの突起があらわになる。
「何を…!」
流崎の指が左右それぞれを摘み、続いて爪を立てる。
――こんな薄いシャツ一枚で こんないやらしい乳首を隠せるとでも思っているのですか
「まさかそんなことで…怒ってるのか…? くっ、、うあ…!」
爪にジリジリと力が込められる。押しつぶされてさらに充血した。
――それとも 待つ田に見てほしかったんですか
「いいがかりもいいとこだ…! だいたい…昨日だって… あああっ――!」
爪に力を込めたまま、ねじ切るように大きく捻られ、月は絶叫した。
――言い訳はききたくありません 昨日 月くんとあれの肩が触れ合った瞬間から
残念ながら 私の理性は もう 機能していません
「その罰なら…もう受けたじゃないか…」
掌で転がし、拳をギリギリと押し付け、摘んで引張り、また爪を立てる。
敏感な部分への執拗な攻撃に顔を歪ませながら、月はなおも反論した。
――懺悔さえすれば それですべてをチャラにできるとでも?
流崎はポケットから小さな鍵を取り出し、月の鼻先に突き出した。
月の顔色が変わる。
何か言おうとして、唇をかすかに動かすが言葉にならない。
流崎が黙って立ち上がり、踵を返して月の背中側へ回った。
流崎専用の棚にある引き出しの鍵をガチャリと開ける音が部屋に響く。
その引き出しには、月をいたぶる為だけに用意された、世界中から集めた道具が入っている。
親指ほどの小さい透明な筒が、月の片方の乳首に宛がわれる。
――月くんの体には今日も躾をしなくてはいけません
「…躾? 何のために」
――月くんが二度と挑発的な服を着られないように です
「そんなこと…してないだろう…」
――挑発的か そうでないかは私が決めます
シリンダーのもう一方に小さなポンプを付け、例の手つきでそれをつまみキュポキュポと押すと、
月の乳首が真空状態になったシリンダーに引きずり込まれはじめた。
おぞましい感覚に鳥肌が立ち、体を左右に振って抵抗しようとするが
すべて無垢の木材でできた、重たいアンティーク家具の椅子はびくともしない。
「いっ…! あ… な…何がしたいんだ 流崎…」
顔を引き攣らせ、痛みに喘ぎながら問いかける月を無視して、流崎はポンプを動かし続ける。
限界まで吸いあげると、ポンプとシリンダーの接続部のネジをきゅっと締める。
シリンダー内にいびつに突き出したままの乳首を見て、流崎は口角を歪めて微笑み、
もう片方にもシリンダーを取り付けながら、感情の篭らない声で恐ろしい事を言った。
――月くんの体を 私以外の誰にも見せる事ができないように変えます
「体を…変える?」
怯えたように見上げた月へ、流崎はさらに言葉を続けた。
―月くんが誰のものであるか、一目見ただけでわかるように変えます
続いて取り出したテグスの束をほどき、30cmほどに切って両端を人差し指でしっかり握る。
シリンダーに吸い込まれ引き攣れた根元を数回、ギリギリと巻く。
流崎は再びねじれた微笑を目元に浮かべ、怯えて竦む月の瞳を覗き込んだまま
ゆっくりと両手を左右に引き絞ってゆく。
「―っ!!」
月が顔をゆがめるのに構わずシリンダーを一気にむしり取り、
吸引され真っ赤に腫れ上がった先端まで、残りのテグスできつく縛り上げる。
「痛いって…流…崎!」
――そうでしょうね
糸端を結んで始末した後、同じ要領で顔色も変えずにもう一方も縛める。
皮膚に食い込むテグスに飾られた震える二つの乳首の仕上がりを
前後左右から満足げに眺め、しばらくの間流崎はいとおしむように指先で弄んだ。
軽くなぶられているだけなのに、電流が走るような痛みが突き刺さる。
――いやらしい これなら薄い服など絶対に着られませんね
「わかった 着ない… 二度と着ない 約束するよ… だからもう…」
――すぐに外してしまったら躾にならないでしょう
第一 この程度では躾にもなりません 続けますよ
再び椅子の後にまわり、流崎はカチャカチャと音を立てながら準備を始めた。
自身の体を更に過酷に苛むであろう次の道具に対する恐怖で、月の額にじっとりと冷や汗が浮かぶ。
道具の構造がよくわかるように、月に差し出したそれを色々な角度で見せ付けた。
書類をまとめるクリップに似ている。
――本来なら先端がゴムで覆われているのですが 月くんの躾用にはずしました
切りっぱなしの金属の板が、酷薄そうに鈍い光を反射している。
――バネも特別にきつくしてあります
流崎が指先にぐっと力を入れると2枚の金属板が口を開け、緩めるとガチッと獰猛な音を立てて合わさった。
肘掛に縛り付けられている右手の親指の先を、それで挟まれる。
「痛っ!」
硬い爪ごと挟まれているのに、驚くほどの力で締め付けられ、思わず声が漏れた。
――月くんのここを 今からこれで挟みます
「嘘だろ…?」
流崎の指先が胸のそこへ触れると、恐怖のあまりビクンと体全体が弾んだ。
月の呼吸が震え、ひざがわななく。
「いやだ…」
――月くんに拒否権はありません
「いやだっ やめろっ やめろーっ!!」
体に力が入るだけで、テグスできつく縛められた乳首が切り裂かれるように痛む。
流崎が爪ではじくと、ビリッと神経を伝う音が聞こえるほどの激痛が走り、月はまた悲鳴を上げた。
今でさえ耐え難いほどの苦痛なのに、そこへこの凶器が加わったら。
「無理… 無理だよ… そんなの… 頼む…」
――では やめるかわりに この姿を待つ田に見てもらいますか
月は目をつぶって、半分失神したようになりながらも頭を左右に振った。
――呼びますよ 待つ田
「やめてくれ… 流崎… もう、言う事をきくから…」
――いいえ 決めました 呼びます
流崎が携帯を手に取る。
月は頭を振り続け、掠れた声で懇願した。
「お願い…だ… ちゃんと我慢する」
――できるんですか
「我慢する…我慢するから…」
流崎は携帯をテーブルに戻すと、突然両方の乳首を指で力いっぱい挟み激しく揺さぶった。
「っったあああぁぁぁあぁ―――っ!!!」
体を硬直させて絶叫する月に、一層静かな声で語りかける。
――もっと痛いですよ 耐えられますか 一声も上げずに耐えられますか
「うっ… くぅっ…」
月は答える代わりに、歯を食いしばって、徐々に悲鳴をかみ殺してゆく。
――では 声を上げずに1時間 耐えられなかったらその時点で待つ田を呼びます
それでいいですね
かすかに頷いたのを確認し、流崎は再び2つの凶器を手にした。
――1つずついきます
月は更に強く歯を食いしばる。
冷たい金属が触れた瞬間、ひっと息を呑む。震える呼吸が加速する。
じわりと圧力がかかり始める。
流崎はわざと月の恐怖心を煽るようにゆっくりと力を抜いてゆく。
「―――っっっ!!!」
つま先が床に突っ張り、重いはずの椅子が持ち上がってガタンと音を立てた。
椅子の肘掛を渾身の力を込めて掴んだ拳がみるみるうちに真っ白になる。
固定された金属の首輪に喉が食い込むのに構わず、頭を幾度も激しく背もたれに叩きつける。
2つ目の責め具が獲物を捕らえた。
その耐え難い苦痛を少しでもやわらげようと、拘束された全身を動かせるだけ動かして暴れ続ける。
声を上げることがどれだけ人を痛みから救うか、月はあらためて思い知った。
叫ぶような激しい呼吸をいくら繰り返しても、気休めにもならなかった。
――頑張らないと 声が出てしまいそうですよ
涙が溢れ、頬を伝い、ぱたぱたと音を立てて肌蹴たシャツに落ちる。
悲鳴をこらえようとすると呼吸が止まり、
苦しさに呼吸を取り戻そうとすると悲鳴を上げそうになる。
玉のような汗が顔に浮かび、となりあった雫がつながって一塊に成長し、
やがて自重により零れ落ちる。
――この状態で1時間と思っていますか だとしたら甘いです
流崎は口角をさらに吊り上げ、いつもとは別人のようにくっと目を細めた。
月が苦痛に喘ぐ姿に対し、性的衝動を覚えた時のみに見せる顔だ。
月だけしか知らない表情である。
――月くんには もっともっと苦しんでもらいます
胸に喰らいつく責め具それぞれに、流崎が円錐形をしたサビ色の錘をひっかけてゆく。
荒い呼吸の元、汗で張り付いた前髪の隙間から月は縋るように流崎と眼をあわせる。
普段は無表情な双眸に浮かんだ喜悦の笑みを見て、絶望にうちのめされた。
一種のトランス状態といってもいい。こうなると、いくら泣き叫んで哀願しても
もう何一つ届かないのは月自身が一番よく知っている。
――ひとつ300gあります いきますよ
2つの錘から、手を離した。
「―――っ!!! ………っっ!」
むき出しの神経を引きちぎられるような激痛が月を襲う。
気が狂ったように左右に首を振ると、汗と涙が飛び散った
――これでも叫びませんか 偉いです月くん もうひとつずついけそうですね
錘が増やされ、重さが倍になる。
それでも月は一声もあげない。
かみ締めた下唇から血の雫がつうと流れ落ちたのに気付き、
落とさないよう自分でしっかり噛んでいてくださいと言って流崎は月にタオルを咥えさせた。
――あと50分です 私はここで見させてもらいます
少し離れた所に椅子を置き、全身で苦痛を訴える月の姿を恍惚と眺めている。
――本格的な拘束や吊りができる設備をこの部屋につけなかったのは失敗です
そのうち用意させます
――口を割らないスパイにはとにかく悲鳴を上げさせます
悲鳴を聞くだけでだいたい出身言語圏がわかるんです
流崎は頭に浮かんだことをたいして整理もせずに喋り続けた。
それは極度の興奮状態に至る過程の証でもあった。
時折、月の傍へ寄ってきてはふいに錘をゆさぶり、あるいは道具ごと捩じり、
そうして50分の間、繰り返し月の押しつぶされて赤紫色に変わった乳首を苛み続けた。
時計を見ていた流崎が立ち上がり、月が咥えている血の滲んだタオルを引き抜く。
椅子の肘掛と月の太もものあいだに膝を割り込ませ、前を開き、
月にのしかかるような体勢で自身を扱き始めた。
顎を押し上げて上を向かせ、硬く反り返ったそれを月の口腔深くにねじ込む。
声を上げることも、歯を食いしばることも、息をすることさえも封じられ、
苦しさに咽て吐き出そうとする生理的な反射すらも徹底的に無視される。
椅子の背をしっかり掴み、月の頭を背もたれに叩きつけるように流崎は腰を使う。
突き上げに合わせ、錘が激しく揺れる。
歯をあてないように、全ての体力と精神力を注いだ。とても舌を使う余裕などない。
下腹全体を顔に押し当てられ、喉いっぱいに先端が埋まり、
腰を使うたびにグッグッと押しつぶしたような音が漏れる。
嘔吐反射で波打つようにせり上がる舌の動きを味わいながら、流崎は月の喉を抉り続けた。
いよいよ最高潮の昂りを迎えた流崎は自身を引き抜き、
月の髪を掴んでその顔に強く押し付け、激しく腰を動かす。
顔を背けようとするが、流崎は両掌で月の頭を抱え込み、なおも擦り付ける。
拘束された身では抗う術もなく、なすがままにされる他はない。
頬に脈動を感じ、思わず息を止め、歯を食いしばる。
頭を押さえつけている節くれだった指に、一層力が込められた瞬間、
最初の熱い白濁液がドロリと額にぶちまけられ、続いて唇に浴びせられた。
流崎はそれでも動きをやめない。やや弾力を取り戻した自身の根元を掴み、
月の顔をこねまわすように這わせていく。
己の体液が満遍なく塗りたくられた事を確かめた流崎は、やっと月を解放した。
月は拘束を解かれ、抱き上げられ、ベッドに仰向けに寝かされた。
――かなり痛いですよ 覚悟してください
声を上げてもいいです もう1時間すぎましたから
流崎の指が乳首を噛み潰している道具をそっとはずす。
無残に変形し、金属板の鋭い切り口で傷ついたそこにわずかに血が通い始めると、
麻痺して堰き止められていた痛みの刺激が激流となって月に牙を剥く。
「あ、あ、あ、あ… うわぁあああ―!」
1時間分の悲鳴を搾り出すように張り上げながら
ベッドの上でのたうち暴れる月の体を流崎がまたがって押さえ込む。
テグスを鋏の先端で持ち上げ、ぱちんと切り、ゆっくりと解いていく。
縛めを解くと更に強烈な痛みが襲った。
「ああ、、あ、い、痛いっ…」
皮膚に深く食い込んだテグスをずるりと引きずり出すと、湧き出すように血が溢れる。
乾き始めた流崎の体液と涙とが混ざり、シーツに染みこんでいく。
流れ出た血を舐め取り、腫れあがって肥大したそれを流崎はかわるがわる口の中で転がす。
思い通りに作り上げた芸術品を愛でるかのように、舌で丁寧になぞり、強く吸った。
月は残りの体力を振り絞って流崎を突き放そうとするが、難なくかわされ組み伏せられる。
――このままにしておくとすぐに元通りになってしまいます
明日もあさってもその次の日も縛ってあげます
シリンダーで吸引もします
二度と元に戻らなくなるまで
耳元に口を寄せて囁かれ、月の力が抜けた。
胸をなぶられる間、月は呻きながらシーツを掴んで耐え続けた。
ふいに乳首を弄ぶのをやめ、流崎がその瞳を曇らせる。
――月くんがこんなにも頑張ったのは 待つ田の為のような気がして 嫌な気分です
「…どうしてそこで待つ田さんが出てくるんだよ」
――月くんのいやらしく膨れたここを 待つ田が見たらどう思うでしょう
「もういいよ 待つ田さんのことは」
――かばうのですか
「何でそうなるんだ 言ってる事、めちゃくちゃだよ…流崎」
掠れた弱々しい声で、それでも月は言い返した。
月と言葉を交わして少し落ち着いたのか、いつもの流崎に戻りつつあるようだった。
「気がすんだ…か?」
薄目を開け、力なく流崎を見上げる。
――いえ
まだ続くのか、と深い溜息をついて眼を閉じた。
――今晩は抱かずにおこうと思いましたが やはり抱きます
昂りを押さえきれなくなった流崎が月の唇を貪り、衣服を脱がせる。
十分な硬さを取り戻した自身を掴み出し、両膝を割り開き、足を抱えあげる。
抵抗する事もなく、月はぐったりとされるがままに体を委ねた。
深い傷を負ったままのそこを流崎の性器が貫き、手加減無しの律動が開始された。
半日かけてふさがりかけていた裂傷が再び押し開かれ、血の雫がシーツを紅く染める。
――月くんが悪いのです 私を心配させてばかりいる月くんが悪いのです
まともに働かない、もやのかかった月の思考は、流崎の言葉をそのまま受け入れた。
僕が…悪い…? そうか…ごめん…流…崎…
痛みが月の意識を掴んでたやすく引き剥がしていった。
既に何の反応も示さないその体を規則正しく揺さぶりながら、流崎は自らに暗示をかけるように繰り返し呟いた。
――月くんが 悪いのです
end