【得るに躾けられた月タン】 得るの手を、声を、匂いを、体が覚えている。 記憶は無意識の欲望と絡まりあい、それは体の奥の火種を刺激して、夜毎月を苦しめた。 1人での行為ではとうてい封じ込めることもかなわない。 鎮めても鎮めても、そのたびに火種は冷え切った焔をゆらめかせ、なお一層月を支配した。