「くっ……どけ!邪魔だ!」
「……」
月の上にのしかかったその男は無言のまま月のジャージに手をかけた。男の目的が何なのかを漸く察した月は、今まで以上に手足を、体を暴れさせる。
それにしてもなんて図体だーー。まるで塗壁のようだなと思った。
しかしそんな呑気な事を考えている暇もなく、男の大きな手が月の襟首を掴み、力任せに左右に引っ張る。
「クッ……!」
いったん裂目が出来た繊維というのは、後は比較的すんなりと破れるものだ。加えて男の馬鹿力に、月の黒いジャージは無惨に引き裂かれた。
中は薄いTシャツ一枚。月の額に冷や汗が浮かぶ。ノートはもう土の中で、今はどのみち掘り起こせるような状況じゃない。
何よりも先程の自分の行動の一部始終を見られていたらまずい……。
月の動揺する様子を見て自分に対する恐怖だと取ったのか、男は漸く口を開いた。
「済んだら帰してやるよ……」
「リュ…リュークっ…見るな…くぅっ」
破れたジャージや下着が散らばる薄暗い森の下。白い太腿のはざまで男の巨体が揺れている。下半身を貫かれるはじめての痛みに、月は今や冷静さを失っていた。
結合部から聞こえてくる不愉快な濁音。男の荒い息遣い。
息が顔にかかり、月は男に組みしかれているという屈辱を否が応にも再確認する。
「くっ…んっ…ふぅっ…!」
靴下以外何もつけていないという惨めな格好は、人一倍プライドが高かった月にはあまりに耐えがたい羞恥だった。
ましてや自分でも見たことのなかった秘所をさんざん指や舌で弄られ、今は男の逸物で犯されている。
「うんっ…ん…くっ…うぅっ…」
リューク…見るな…
何度もそう呟く。僅かな間とは言え毎日を共に過ごしていた存在に自分のこんな姿は見られたくない。
例え死神だとしてもーー。
「くっ…イくぜっ…」
男がいっそう腰を揺らし、奥に奥に突き上げる。月は何かにすがるように、思わず地面の草を握り締めた。
ブチブチ草が切れる音に続き、男が低くうめくと同時に己の体に熱い精子がどくどく流れ込むのを感じたーー。