「月君…」
「やめろよ!何脱がしてんだよ、触るなよ!」

「だって月君、じゃんけんに負けたじゃないですか」
「……お前はなんでそんなに強いんだっ!?
いくらなんでも6連勝はあり得ないだろ…」
「まぁまぁ。何にしても月君は負けたんですから。
…悔しいですか?」
(ムッ……)
「じゃあ特別ルールです。
本来ならこれで月君の負けということで勝負がついたはずなのですが、
このまま勝負を続けましょう」
「!?…いいのか?」
「構いませんよ。今の勝ちも無効にしましょう。
はい、いいですよそれ穿いてて。
ですが月君はあと一回負けたら終わりですよね。
それじゃつまらないので、それを脱いだ後も勝負を継続しましょう。
その後も負けたら、私の言うことをひとつずつ聞いていって下さい」

「どうしますか?負けて全裸になって終わりますか?」
(言うことを聞くなんて絶対に嫌だ…だけどこのまま負けて引き下がるのも癇に障る…
こいつはどうせ上下それに下着しかつけていない…
あと三回勝てば僕の勝ちだ!確率的にも次こそ僕が勝つはずだ!
こいつを全く脱がさないまま終われるか!)
「いいよ、竜崎…そのルールで勝負しよう」
「さすが月君です。その勝気なところがまた魅力的です。
それでは行きますよ。
じゃん、けん、…!!」

「…ぽんっ!」
ジャラリと手錠の音が鳴る。
先ほどの得るの手から考えに考えた結果グーを出した。
「―――――私の、勝ちですね」
「くそ!」
「じゃあ最後の1枚脱いでもらいます」
屈辱だ。得るは僕が裏の裏の裏をかくことも計算済みだったってことか?
しかし裏の裏なんて考えたらキリがない。たんにあいつがじゃんけんに強いってことか?
月は得るの言葉が聞こえないかのように自分の考えに没頭している。
「月君」
いつものように唇に指を当てながら得るが近寄る。
「…なんだよ」
「はやく脱いでください。ルール違反ですよ」
いつも見慣れているはずのその癖が、今はたまらなく屈辱に思えた。

僕の手が下着に指をかけたところで止まる。
目の前の男はいつものように、いやいつも以上に真っ黒な目でこちらを凝視してくる。
こんな風に、真昼間から、普通の部屋の明るい電灯の下で、人前で全裸になるなんてことだけでも
かなりの屈辱なのに、 その上このように視線が重くては!
すでに僕は上半身は裸で、下も下着一枚のみなのだ。
露出された胸や、わき腹や、太ももの間なんかを、この男の視線が僕を押し潰すように追っていく。
僕はLをきつく睨んだけれど、それさえもこいつは楽しんでいるようで、それに僕はますます腹が立つ。
ここはさっさと脱ぎ捨てて早く次の勝負に持ち込まなければ!
そうは思うけれど、何故か僕は曖昧に少し前かがみの奇妙な体制で止まってしまう。
それどころか顔に血が昇って行く。
顔が熱くなるのを感じて気持ちの遣りどころがなく僕はますますLを睨んだ。
なんだよこの状況は!なんで僕がこんな、恥ずかしいとか…!

「やはり脱ぎにくいようですね?」
無表情な声でも、Lの顔はかすかににやついていて、また腹が立つ。
「……そうですね。では…。
これを履いてくれればそれは脱がなくていいですよ」
そういってぬっとLが僕の目の前に突き出したもの。
それは、一足の白い靴下だった。

眼前に靴下を掲げられて、月の薄茶の瞳は一瞬、ぽかんと見開かれた。
何を言っているのだ、こいつは?
直後、自分は竜崎にからかわれたのだと感じて、頬が朱に染まる。

「…なっ…!そんなものが履けるか!」
摘み上げる手ごと靴下をばちんと音を立てて叩き落とす。
「ふざけるな!人を馬鹿にするのも大概にしろ!」
憤怒に染まった瞳で、竜崎を睨み据え散らばった衣服を拾い集める。
手首に戒められた手錠が、触れ合っていやに高い音を立てるのですら忌々しい。

視界の隅、竜崎がやれやれ、月くんは乱暴ですねと
手を撫でさすりながら靴下を拾っている。
――この変態め!

大体いつもそうだ。
この男は不真面目でいい加減に過ぎるのだ。
自分はいつだって、竜崎の我が侭に振り回されてばかりだ。


「逃げるんですか?」
ふいに竜崎が、一段低い声で月の耳元に囁く。
手にしたコットンパンツを履こうしていた月の肩が、微かに動く。

「私は君と勝負をし、自分の力で勝利を収めました。
君もその件について了承し、我々は勝者と敗者という立場に立っている。
そこまでは分かりますね?」
ぎらつく怒りの炎を燃やしていた瞳が、敗者という単語を聞くや
いささか戸惑ったような色に揺れる。
明らかに動揺しているのだ

竜崎は、内心ほくそ笑んだ。
夜神月は稀に見る負けず嫌い。竜崎の思い通りの反応を示す所もいっそ好ましい。
愚直なまでの強情さは、蜜の甘さだ。

実際には、彼はいつもじゃんけんの手が一拍遅れているから
次に来る手が、非常に読みやすいのだ。
たとえ竜崎ほどの知性の持ち主でなくとも、数回相手をしたら簡単に勝てるだろう。
知らぬは本人ばかりの癖であった。

口元にうっすら笑みを浮かべ、
「さあ…どうします?選ぶのは君次第です。私は君の選択を享受するだけだ」
靴下を頬に押し付ける。
月が嫌そうに眉根を寄せて、首を横に振る。
「ああ失敬。これはお気に召しませんか。それとも君は、こちらの方がお好みですか?」
竜崎は月の手を引き、彼自身の中心に触れさせてやると、月はぎょっと身を硬くする。
そこは既に十分な熱量と硬度を持って、勃ち上がりかけていた。
「なんだよ、これ…!嫌だ、離せ…っ!」
押し付けられた月が身をよじって暴れる。

「君のこんな姿を見せ付けられては、我慢できません…」
いつもは虚ろな黒瞳に、情欲の片鱗をにじませた竜崎が
「私のペニスに奉仕するか。それとも君が靴下を履くか。どちらでも好きな方を選択して構いませんよ。
万事、君にお任せします――」
そこで一旦、言葉を区切った。


「それこそが、ゲームというものです」

僕は絶句した。
どこをどうやったらそんな発想が出てくるというのだ?
お、男同士じゃないか!
…もちろんこんなことは女性に言ったって十分に変態的だけれど。
でも、わざわざ僕に要求するところが、普通じゃない。絶対どこかおかしい。
冗談だろ、と今更乾いた笑顔を作って無理に笑いかけても、竜崎の目の色は変わらない。
それどころか、困惑した顔で固まっている月をじっと覗き込みながら、
竜崎は自分の手を月の手に被せ、
上から無理矢理やわやわと揉ませる。
その行為と手の平の方の感触に僕は本気で眉をしかめた。
こいつ…本気だ。
言うことを聞かなければ本当に僕はこいつの、その、アレに、シなければならない。
ふざけたルールには付き合ってやれても、さすがにそこまでは、…ごめんだ。
もちろん裸になって竜崎に僕のそこを晒すというのも。

「わ、分かった竜崎…。
………それ履くから……離してくれよ」
だからと言って途中でゲームを放棄して逃げるのは僕のプライドに障った。
こいつにだけは何であれ負けたくない。引き下がりたくない。
奇妙な意地だけが僕を奮い立たせる。
竜崎はその言葉を聞くとさらりと僕から手を離して靴下を差し出した。
あくまでゲームのルールに付き合っています、という態度だ。
僕はまたその竜崎の態度にムカッとしたけれど、
(だって僕はたった今、竜崎の提案したおかしな選択を、腹の立つことにも、享受させられたのだ)
同時にちゃんとルールを守るその姿勢に妙に安心した。
どうやらルールの上ならば竜崎はあくまでフェアなようだった。
このきっちりとした性格は嫌いじゃない。
これなら僕が勝ったときも、安心してとんでもないことを言ってやれる。
そう思うと闘志が沸いてきた。
僕は靴下を奪い取ると、その思いだけで頭をいっぱいにして、
他のことを考えないように物凄い勢いで靴下を履いた。
そのまま仁王立ちのように立ち上がる。
靴下で下着一枚という姿はたぶんそうとうに間抜けだったし、ちょっと寒い気もしないでなかったけれど、
もう僕はこいつを打ちのめすことでいっぱいだった。

「さぁ、竜崎……勝負を再開しようじゃないか……!」
「何かその笑顔が怖いですけれど」
僕は無意識に笑っているみたいだった。
「じゃあ行きましょう。
……じゃん、けん、ぽん!」

………………………………………………。

僕は自分の空虚に開かれた手の平を見つめた。
………………………何故!!!

「どうやらまた私の勝ちのようですね。
次はどうしましょうか?」

くっ!
愉快そうに唇に指を当てて次の策略を考えている竜崎は最高に腹立たしい存在だった。
殴ってやりたい。
…でもそれはフェアじゃない。
竜崎は明らかにルールにのっとって進めている。
負けた自分が悪いのは確かなのだ。
僕は、自分もこのゲームに乗ってやることに決めた。
ふざけてはいるルールだが、一度勝負に乗ってしまった以上、このルールを守ってやろう、と心を決めなくては。
そう思って竜崎を見た。
目があった竜崎は、普段と同じ調子で、どうやら考え付いたらしい罰ゲームの旨を切り出した。

「そうですね、また選択制にしましょう。
私には選べませんでしたので、月君が好きなほうをして下さい。
私のペニスに奉仕するか、今から私の目の前で自慰をするか。
はい、どっちがいいですか?」

……いい加減にしてくれ!!

この状況に耐えられないのか、月は頭を下げて拳にきつく力をいれている。
きっと眉間にしわを寄せ、くちびるを噛んで、またくだらないことでも考えているのだろう。
頭が下がっているのでその表情を伺うことは不可能だったが容易に想像がついた。
得るは自分のくちびるが弧を描くのを止められなかった。
あの月が下着と、靴下1枚で眼の前に立っている。
これほどの屈辱があろうか。

すると今にも消えそうな声で月が言葉を発した。
「・・・だ。」
「もっと大きな声で言ってください。聞こえませんよ。」
首を傾げ親指でくちびるをもてあそびながら、いつもの口調で得るは言う。
「―・・・っ。」
月がくちびるを噛む。顔をあげたのではっきりと見える。
悔しさからか目元がほんのり赤い。
視線を外しながら先程と同じようにくちびるが動く。
「いやだ。選びたくない。」
ふぅ、とあからさまに得るがため息をついた。
とたんに興味がなくなったとでも言うように月に背を向けぼすん、とそばにあるソファーに座る。
「・・・月君はこんなに我侭でしたっけ。
選択したくないと言うことはこの勝負を降りるということで、それは私に対する――――」
「勝負を降りるとは言っていない!」
ギッと射るような鋭さで月は得るの言葉をさえぎる。
「下着を脱ぐよ・・・それでいいだろう?ルール違反ではないはずだ。」
「それでこそ月君です。さぁ、脱いで続きをしますか?
私、結構強いですよ。」
膝の上に手を乗せ上目遣いに月を見る。
その姿はとても子供っぽくて、月はこのおかしな状況に改めて気が付いた。

ちょっと待てよ…?
この状況……何かおかしくない、か?
急にすうっと頭が冷えて、月はもう一度竜崎の方を見遣った。
何故僕は、こんなムキになっていたんだろう…?
…よく考えたら、いやよく考えなくたって、…こんなこと、馬鹿馬鹿しいだけじゃないか!
そうだよ、例え一時の恥を我慢してこの後竜崎を負かしたって、
…竜崎を裸に剥いて、いったい僕は何が楽しいんだ!?
危ない……竜崎に乗せられてまたおかしなことをするところだった…。
今冷静になった以上、こんな馬鹿げたことはすぐにでも切り上げてしまわなければ。

「りゅうざ、」
ゲームの中断を切り出す月の言葉は、急に立ち上がった竜崎に押され床に倒されてそのまま消された。
押した拍子にぶつかった机や棚ががたがたと揺れ、上に乗っていた物がいくつか落ちて派手な音を立てた。

「今更やめるとでも?」
平静を取り戻した月の心内を竜崎は見透かしたのだろうか。
片手を掴まれぐいと顔を近づけられる。
「………っ!
まだ、何も言っていないじゃないか…っ」
急に視界を反転させられて先手を打たれ、月は予想外に動転した。
ぎくりとしながら慌てて言葉を探す。
でも、これ以上はいい切り抜け方が見つからない。
竜崎の服が素肌に触れて、変な行為を揶揄するような感触を月に与える。
「…いいですよ。月君がそういう聞き分けのないことを言うのなら、私だって勝手にさせてもらいますから」
そう言って、竜崎は下着越しに月の股間を撫でた。

「なっ!やめろ!」
明確な意図をもってそこを撫でる竜崎の指に、不覚にも反応してしまう。
どういうつもりだ!
「君が自ら脱げないのでしたら、私が脱がせてあげますよ」
言うが早いか、竜崎の冷たい指が下着にかかる。
直に腰を触られて、信じられない奴の行動にパニックになりそうだった。
「やめろっやめろ!」
抵抗しようにも上半身は奴の体で押さえられていて腕すらまともにあげられない。
これ以上の屈辱があるだろうか。どうしてこんな状況になってしまったんだ。
「月君の我が侭にはつきあっていられません。
私ばかりが妥協していたのではフェアとは言えませんよね?」
「くっ…」
耳に吹き込まれる男の声がいつもと違う。
信じられない事だが、奴は僕に欲情しているらしい。
下半身に当たる奴の股間が紛れも無い証拠に膨張しているじゃないか…。
はじめからおかしかったんだ。
どうしてそれに気付いていながら、僕はこんなふざけたゲームにつきあったりしたんだ。
「月君…」
ゆっくりと下着をおろされる。
臀部の形を確かめるように指がそのあとを辿る。


「いやだ、竜崎!」
月は声を張上げて抵抗した。
二人を繋ぐ手錠が床の上でジャラジャラと踊る。
「…少し、黙っててください」
少し不機嫌そうな得るの顔が近付く。
頬を舐められた、と感じた次の瞬間もうくちびるはふさがれていた。
ぬるりと得るの舌がくちびるを舐める。
月は意地でも口を開けまいと唇につよく力を入れた。
そんな月に焦れたのか得るは下着を一気に引きおろし、わずかに熱を持ったそれに触れる。
「ん!は…ッ!」
「下着を脱がしているだけなのに月君はいやらしいです。私に触れられて感じましたか?」
言葉は、至近距離でまだくちびるが触れ合ったままの月にダイレクトに響く。
「ち、違う…んんっ」
口が開いた瞬間にするりと得るの舌が入りこむ。
歯列を割り逃げる舌を強引に絡める。
月の舌を付根からべろりと舐めあげるとびくびくと月の腰がはねた。
その隙を見計らい下着を片脚から抜き、同時に月の上顎の辺りを舌先で責める。
「ぅん!ん…りゅうざ、き!」
まだ抵抗する月の腕を捕らえ、両腕をしっかりと固定する。
そして右手の手錠の鎖を、8の字のように月の手首へと括った。
「なっ…やめろ!いやだ!」
強引にくちびるを離し手首を動かす。
ギリギリと鎖が食いこみ痛みしか伝えてこなかった。
「おとなしくしててください、私だって右手が使えないんです。お互い様でしょう?」
「どこがだ!」
下着を脱がす為だけにどうしてここまでしなければならないのか、月には理解できない。
だがもう脱がすだけでは済まないことも肌で感じていた。

この男に…竜崎に対し自分は今、完全に受け身をとらされているという事実。プライドの高い月にとってはたまらなく屈辱であった。
仰向けの体に乗しかかられ、手首を硬い鎖によって固定され、逃れる術が見付からない。
いつもは螺子が一本外れたような何とも奇怪な振る舞いをするおかしな男だが、今は月を射抜くような瞳で見付めている。
背筋にぞくっと何かが走った。それは恐怖なのか興奮なのか、月にも分からない。だがどういうわけか、体の芯がじわじわ熱くなっていくような切ない感覚がある。
竜崎の遠慮のない視線が自分の顔から首筋、胸元を通り腹部…そして下半身へと這ううちに、月の分身は確かに首をもたげ始めていたのだった。
透明のてらてらとしたカウパーが淫猥に輝くのを見て、竜崎は口元だけを笑んでみせた。
「ライト君…ここどうかしたんですか?」
大きくなりかけたペニスを握られ、月ははじめて自分が勃起していた事に気付かされた。顔が真っ赤になるのが分かる。
「クッ…さっ触るな…りゅう…ざきっ…!」
「…林檎みたいに真っ赤ですよ?それにしても今日はライト君の新たな一面をたくさん見ることが出来ました。
あなたは案外ワガママで単純、そして…」
握りこんだペニスの先に親指を這わす。尿道を指先でいじられ、我慢しきれずに体がびくっと反り返った。
「ああーーっ……!」
月の奇声を心地よく聞きながら、羞恥心をあおるように耳元で囁く。
「……こんなに快感に従順だったとは……驚きました」



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